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研究内容

文化と感情

一般的に、人はポジティブな感情を増やし、ネガティブな感情を避けたいものだと考えられています。しかし、アメリカの文化的文脈ではこのような「肯ポジティブ・反ネガティブ」な感情のシステムが一般的であるのに対し、私たちの研究室で行った研究では、東アジアの文化的文脈ではより中庸的な感情のシステムが一般的であることが示されてきました。このような研究を通して、感情の評価、制御、および経験が、どのように文化に根差した感情システムの維持・形成に貢献しているかを調べています (Miyamoto, Ma, & Wilken, 2017)。また、中庸的な感情システムの特徴として、混合感情も研究しています。特に、「はかなさ」という混合感情が美的知覚に与える影響も検証しています。

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文化と健康

文化心理学の研究は、様々な心理的プロセスにおいて文化差があることを示してきました。しかし、そのような文化的差異は、健康へ影響を及ぼすのでしょうか?私たちの研究室では、心理的プロセスの文化差が健康に与える帰結を検証しています。例えば、「不安」などのネガティブな感情を経験することは、ネガティブな感情を有害なものととらえる信念が強い文化的文脈(例えばアメリカ)において、特に健康にとって悪影響をもたらすことがわかってきました。これらの研究を通して、文化と心と健康の関係を理解するための理論的枠組みを構築することを目指しています (Miyamoto & Ryff, 2022; Miyamoto & Coe, in press)。

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文化と社会格差

近年、主に西洋文化で蓄積されてきた知見によると、社会的格差は心理的プロセスに影響を与えることがわかってきています。これらの研究によると、社会の中でより優勢な地位に位置づけられている人 (たとえば、より大きな権力を持っている人、社会経済的地位が高い人) は、社会の中で劣勢な地位にいる人よりも、より自己中心的な思考や分析的な認知スタイルを示す傾向があることが示唆されてした。しかし、社会的格差の影響は文化的文脈に依存している可能性があり、日本では異なる結果も得られています (Miyamoto et al., 2018)。そこで我々の研究室では、文化的文脈の中で、社会的階層が様々な心理的プロセスに与える影響を検証しています。また、異なる形態の社会格差として、ジェンダーについての研究にも取り組んでいます。

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